コンクリート製小割組立エコ養殖システム

1.「プラント」でなくコンクリート製小割組立水槽養殖法が求められる

バナメイは、車エビ属ホワイト系で放浪型と言われ、移動します。稚エビから浅瀬に近づき、若エビとなり青年エビになるとまた海の沖合いに出る習性があると言われています。従って陸上で養殖する池も、大きい池にするか養殖密度を少なくするとエビのためには良いでしょう。しかし、池を大きくすると水圧も掛かるため、重構造になり投資が増えます。また、温度管理や飼育管理・水の造流(造波)に費用がかかります。したがって、大きなプラントでなく、品質とコストを考慮した新しい『水槽設計』が必要と考えました。

私達は大量生産には「プラント」でなく機能を備えた水槽が必要と考え、水槽製造法を研究し、安価簡易型『コンクリート製小割組立水槽』方式に到達しました。

計算しにくいのですが、水槽価格は2~3割になり、道具があれば漁、農民でも工事出来るようになるでしょう。



2.コンクリート製小割組立水槽内に諸機能を内蔵

水槽1基が10m角、100㎡の屋根付水槽とし、この水槽内に

『濾過機能』 『造流(造波)機能』 『沈殿物回収・排出機能』 『温度調整機能』

『人工漁礁と海藻機能』『水質浄化機能』『底質酸素供給機能』

『槽内攪拌、均一水化機能』 『植・動物プランクトン増殖機能』

等を内蔵させます。 こうした機能を持った水槽を必要な数だけ並べて育成水槽とします。大型プラントは必要ないのです。



3.養殖密度と育成期間や出荷ローテーションと飼育数調整

10m角100tを1水槽として必要に応じて、4ヶ、6ヶ、10ヶ、16ヶ、20ヶと並べて行く訳ですが、当然養殖密度や育成期間や出荷ローテーション飼育数が自由に調整出来ます。

①これまでのプラントは水槽の大きさに合わせ建屋、装置が作られていますので、建屋、

付属設備一式を増やさな いと水槽を増やす事も出来ませんでした。飼育数を代えると即収益キャッシュフローに影響します。そのため過密養殖が経営改善の唯一の方法となりますが、過密養殖は病気等リスクの原因となるものです。経営改善の方 法として限界があるでしょう。

②一体型のプラントでなく、安く水槽が出来るなら、㎡当たりの養殖密度増を過度に追求しないでも飼育希望数に応じて水槽数を増減し、生産数を調整する事が出来ます。ムリ・ムダ・ムラのない養殖密度で安定した経営も可能になります。



4.屋根付小割り水槽と従来の建屋や屋根の関係

従来のプラントですと、水槽の大きさによって建屋の面積や高さが変わってきましたが、小割水槽は屋根付です。数が変わっても建屋の面積や高さを考える事がありません。屋根付水槽を規格品とする事で、

①建屋として小型ですので、屋根価格は安価にできる

②構造計算や事業見積・経費予測の定量化ができる

③風・雪に対応構造ができる

④架設建屋とする事で税金の軽減化ができる

⑤施設価格の規格化ができる

⑥キャッシュフロー経営ができる

とさまざまな改善が可能となっていきます。



5.小割水槽と大きさは「水槽内ろ過」等機能を考えて設計

水槽の大きさは、大から小まで色々あります。素材もシートあり、樹脂あり、コンクリートあり、形状も多種あります。

又、水槽は水圧だけを考えると丸型が強いでしょうが、面積的にロスが多く、丸型ですと太陽光の入る屋根設置法が全国的に確立されていない。トータルに検討した結果、堅牢なコンクリート製とし、若い人も就業できる耐用年数の長い施設漁業経営を目指します。組立ですので“角型”なら大きさも選択できますが10m角が万事に都合がよいのです。

建築基準法や、エビのストレス緩和、施設コスト、各種機能、建屋・養殖収益面と総合的管理面等のエコ・バランスを考えた結果でした。

水槽設定もエコの視点である事を御理解下さい。



6.若い人が就業できる漁業を目指して―小割組立陸上水槽

人件費を支払う時は、1人の人が管理出来る最大飼育数の時に1匹当たり最小人件費となりますが、人件費を払わない家族経営や兼業の時は飼育数を考えないでも損をしなければ維持できるでしょう。

本システムは漁民が皆釣り船を持つと同じように、水槽を所有、あるいは管理する新しい漁業提案でもあります。店先、庭先、車庫にも設置可能です。地域全体で分業や水槽配置を考える事も可能です。今最も収入が少ないとも言われる「海上漁業」収入を「陸上漁業」でカバーすることを考えると、若い人の漁業人口も増えると考えます。

漁業の未来に“小割組立陸上水槽”を提案いたします。



7.多種陸上水槽の活用

バナメイ養殖には10m角水槽を作りました。しかし、今地球上には使えなくなった多数の廃水槽もどきがあります。日本には休耕田があり、東南アジアには廃エビ養殖池が大量に存在します。今回エビ養殖では長方形、水路のような形状にして安価な補助水槽として多目的に利用します。20㎡小型も、数100㎡大型も可能です。

組立陸上水槽は新しい水圏事業へも寄与できるはずです。



8.農・海産物陸上水圏動植物複合利用

陸上水槽のうち、浅い池を作ったり、小川もどきの水路を作り、食糧生産施設として利用する安価なバイオマス発酵熱や養殖用ヒーターを使う事も、コンクリート製組立水槽技術で可能です。

①米や野菜の栽培床 ②水耕栽培 ③蒸発用施設園芸

④海藻栽培(微細藻類含む) ⑤海水を浄化し、海水を養殖水として再利用

⑥淡水水路による魚介類の養殖

「建屋不要の安価で保温も出来る屋根付き各種汚廃水浄化用・貯留・反応水槽・水処理用小割水槽」に期待するものです。

ここで『微生物増殖最適環境水槽』として利用していきます。


小割組立水槽概略図①

小割組立水槽概略図②

温室屋根付小割水槽・雨よけシート付補助水槽

補助水槽