キャッシュフロー経営「最適養殖種を複合生産」
異常気象や自然災害の影響により、以下、価格については見直し中です。仮のものとして、お考えください。
1.養殖にはキャッシュフロー経営が必要
私達はコンブを栽培、「海の森」をつくり、コンブをエサとする「アワビ養殖」を得意としてきたグループ員です。ところが、陸上での「アワビ養殖」を開始するにあたって、改めてマーケットを再調査し諸費用を積算してみますと
①育成期間が長いため、企業としてランニングコストを負担出来ず、キャッシュフローが回らなくなる恐れがありました。
②室内の養殖アワビは実需家(マーケット)にとっては、天然ものと、海外からの安い輸入品の間にあって、天然も のの減量を補うものでなく、別のマーケットとして輸入品に近い扱いを受け、不況の折から売価が安く利幅が少なく、少しの資本では持ちこたえない事が分かりました。 ③日本の昔から高級品として知られる美味の王様「アワビ」を増やし、事業として確立するためには、キャッシュフローを改善する「繋ぎとなる養殖種」の導入と「地 域協業、海陸連携」し「種苗生産」から取り組むトータル対応策が必要になります。 |
2.キャッシュフロー漁業が必要
バブル期は売上高が重視されてきましたので、単価の高い魚種が好まれるでしょうが、デフレ期とも言われる現在は、
①安価でも利益が出せる
②原価計算管理をする。
キャッシュフロー経営が重要でしょう。試算し比べると5倍~10倍と大きな差になっています。
船を動かす漁民の漁業収入が1,000万円あっても、原価率が70%で所得が平均300万以下。ここから一般管理費を引くと原価割れと言う事になります。漁協も原価に販売経費・一般管理費を加えると赤字になり、仲買人も取扱量が減って手数料が増えないところに輸送費が割高になるという三すくみ状態になっているようです。流通段階では取扱量を増やす事を考えないとなりません。きちっとした原価管理やキャッシュフロー・営業・投資・財務に渡って確立しないといけません。漁民個人の頑張りだけでは解決できない事も多いので、連携と共同作業を提案しています。
3.単純計算による養殖コストの比較
バブル期は売上高が重視されてきましたので単価の高い魚種が好まれましたが、デフレ期とも言われる現在は、キャッシュフロー経営が重要でしょう。以下試算し、比べると良く分かります。仮定ですが、
(1)高級魚「アワビ」を養殖する①仕入稚貝 @80円として10万匹で800万円
②1ヶ月ランニングコストを100万円とすると育成期間1年で1,200万円 ③現金化までのコスト 1ヶ月50万円として3ヶ月150万円 ④第2回仕入分 800万円 ①~④を合計すると約2,950万円になります。 |
一方、
(2)キャッシュフロー経営として「安価な魚種」を養殖する①仕入値@10円のものを10万匹で100万円
②育成期間3ヶ月で300万円(1ヶ月ランニングコストは(1)-②と同様とする) ③(1)-③と同様とする ④第2回仕入分 100万円 |
4.つなぎの計算例
キャッシュフロー養殖を実際に行うと、どの様な数字になるでしょう。
「アワビ養殖」と安価な魚種「バナメイ」を併用し、アワビの収穫までの人件費をバナメイ養殖で賄う。この時、アワビ養殖に追加される費用
①仕入稚エビ5万匹 1匹10円として(1水槽養殖分)
稚エビ 50万円 (5万匹分)
エサ 10万円 (同上)
人件費 0円となります。
後ページで説明していきますが、初期ランニングコスト(計60万円)、5万匹の飼育手間は人件費で間に合います。逆にいえば、バナメイ売上6回分30万匹でアワビ養殖費用全て賄う事になり、なおかつ
アワビ 10万匹
の売り上げが立ち、アワビ養殖の繋ぎとなります。
単純に5年間で1億の差額となってしまいますので、高級魚の飼育は、大資本で大規模の養殖が必要でしょう。
5.「養殖」を活かすキャッシュフロー養殖
①養殖魚の条件
キャッシュフロー養殖として認知されるためには、単価は安価でもマーケットが大きく「アワビ」より育成期間が短い養殖魚であって、しかも日本の天然魚と競争関係が少ない魚種でなければなりません。
②エコ仕様
更に、食べて「健康的」で「餌料効率」がよく「病気に強い」「環境負荷が少ない」「再生産・持続可能」な魚種と条件をつけるとエビ「バナメイ」がありました。
③将来性
エビは食品中輸入額としてNO.1の食品です。輸入国も25ヶ国になり、世界中で需要が伸びている魚種で、ほぼ全量輸入品です。しかも殆ど養殖品ですので、特定国の漁民・天然ものとの競争関係も少なくなります。歯ごたえが畜産肉に近いので欧米人にも好まれます。
④陸上養殖最適技術条件
但し、「バナメイ」の輸入冷凍物は安価ですので、それなりに工夫しないと、アワビと同じくマーケットに潰されることになります。従って安く生産出来る事が実証されるなら、他の育成期間の長い、あらゆる養殖種の繋ぎになり陸上養殖が経済的にペイすることになるはずです。
⑤バナメイの歴史
「バナメイ」原産地はエクアドルで「ブラックタイガー」の病気対策として米国で開発され、台湾人が世界中に普及させた魚種で、グローバル魚種になっています。「ブラックタイガー」は日本の「車エビ」の餌料効率改善種として、日本と台湾合作で開発されたものです。
6.キャッシュフロー用&陸上養殖に適した「バナメイ」の特長
(1)養殖密度が高い 10~20倍可(対ブラックタイガー・車エビ)
(2)回転率 3倍(分養により6倍)(対ブラックタイガー・車エビ)
(3)売価 ブラックタイガーに比べ80%で取引される高価格品
(4)養殖適温幅が大 ※バナメイ18℃~43℃ 28度以上に設定
※アワビは平均20℃
※ブラックタイガー・車エビ25℃~28℃が最適。
28℃以上は活力低下・食欲不振による栄養剤の追加が必要
低温では冬眠
※うなぎは成長に応じ25℃~30℃に調整
この様に、養殖では上げる暖房と下げる冷房・冷暖房が必要ですが、バナメイは加熱のみと調整が容易です。当然のことですが、設備費やランニングコストが少なくて済みます。
(5)エサ
①現状の配合飼料価格が安い
1kg当たりふぐ300円 うなぎ250円 車エビ750円
バナメイ100円くらいと安い。但し日本国内では養殖されていないため国産は不明です。
②投餌効率が高い
肉1kgに対して配合飼料1kg以下。植物飼料が30%以下と持続可能タンパク
③残餌が少なく、食物連鎖の典型魚種
ブラックタイガー・車エビは歩行型で落下したエサを食べ、バナメイは浮遊して捕食します。浮遊する植物プランクトン(珪藻)→動物プランクトン→小動物→稚エビが食べる食物連鎖の典型です。プランクトンと言うのは浮遊する事の意味で、浮遊物を食べるバナメイであり、浮遊魚は索餌能力に優れているということで、残餌が少ないが糞尿は多いようです。
(6)糞尿等処理
①糞尿の量を少なくする対策としてプロバイオティクスがあります。
②植物プランクトンを肥・飼料にすることで汚泥物が減少しています。
③残渣、糞尿の固化により、リン等として回収する補助水槽設備の利用法は、微生物で消費するのではなく生産する工程です。
④エビカラの再利用等、排出残渣の処理法も色々出来るでしょう。
7.施設の改善により原価を下げる
徹底してコスト削減する必要があり、従来と視点を変えたプラントでない機能性を備えた建屋不要コンクリート製小割組立水槽養殖法を開発し、「省エネルギー」で水槽内ろ過費用をゼロにして、省エネで「加熱・造流」をします。それとは別に補助水槽を使って、いずれ二次収入が得られる事も考えられます。新興国の冷凍物に対抗する価格でも、トータルに収益を得る見通しがたち更なる将来展望が見えて来ます。
キャッシュフロー「養殖」の繋ぎ「海藻栽培」や「立体的養殖」のすすめ
育成期間の短い事で利益を上げる「バナメイ」養殖ですが、他にもキャッシュフロー経営となる方法があります。
①中層に魚やエビだけでなく上層に海藻、低質に貝やナマコを複合養殖する同一 水槽の「立体的養殖」があります。
②回転率の高い海藻を養殖の前後工程水路等をつなげ栽培することも一法で、い くつか実験には成功しています。バナメイと同じ温度帯の海藻として、マレー シアではキリンサイが年8回転収穫され、日本では海ブドウやアオサは通年栽培 も始めています。
海藻栽培と立体養殖で、更なるキャッシュフロー水産経営に繋げましょう。
動・植物複合養殖を順次色々実践していきましょう。
8.流通網は多様
輸入冷凍エビは他の魚介類とは異なって業務用卸や、市場取引より市場外取引高が多く、流通経路も多様です。私達は市場卸でペイする生産原価を追及しております。しかし卸売先によって価格に差があります。
①私達のバナメイは、一流ホテル・温泉旅館・中華料理・イタリアンレストランのシェフ等にサンプル出荷し、 味と値段をチェックしてもらったところ「高級品」として値付けされましたので、高級品、業務用需要を開拡し、高額収入をあげる②「宅配」「給食」「加工用」と直販、地場消費や加工し、付加価値をつける。
私達は広いマーケットが待っている新規事業を提案するものです。 ③調理法によって出荷時期が変わってきます。5cm、10cm位の小型、15cm位、17~20cm大型と用途も幅広いエビ業界です。 |