主要設備とエコシステム養殖の実際
1.日本の宿命―温調の省エネ化
バナメイ原産地は高温地帯ですので、水温加熱が必要ですが、青森で床暖や融雪用にボイラーを使ったシステムで、「電気の1/3」「灯油の1/5」の燃費に抑えられた省エネ効果をもつ新しい住宅用加熱システムが開発、使用されています。
これを「水産用」に改善し、バイオマスを活用し断熱構造にする事で、従来の水温調整用設備・ランニングコストを大幅に削減する空・水温調整を行っていきます。
四季をもつ日本は年間の温度幅が大きく、安価・省エネの温度調整技術の確立は日本養殖のキー技術として改善します。
水温加熱装置 小割水槽の重要装置でコスト負担の大きな部分が水温調整ですが、今回提案では4つの方式を用意し、施主と相談して選びます。 ①保温・乾燥が主目的 バンドヒーターを水槽外周に巻いていく方式 水槽の外にドラム缶・ペール缶用も用意 バイオマス・水溶液の乾燥・保温・加熱用としても活用 ②水槽内投げ込み加熱方式 ③水槽内壁パイプヒーター貼り付け方式 ④水槽底面埋め込み方式 床暖房・ロードヒーター・融雪用としても活用中 ◎従来の耕水機・大型水車一台分(1馬力以下)の消費電力で水温調整を行います。 水車は世界中で使われていますので、以下も水車と比較していきます。ただし、廃校ではデータが取れませんでした。学校全体の電気容量が大きく、冬の方が夏場より電気代は安くなり、ヒーター単体の電力消費量がチェック出来ませんでしたので、ここではヒーターメーカーのカタログを転載する事にしました。また、廃校では水槽が丸型ですので、投げ込み方式で加温していきました。 |
2.地域活性化に―素材生産と施工の分業を
①農業用温室技術を転用。屋根から採光。水槽は土木工事用コンクリート製等を利用し、100㎡水槽規格品に転用する等、各種必要素材は工場で生産し、現地 組み立て施工する事で地域経済効果をもたらし、施設コスト削減を図ります。 ②従来の小型シート水槽やFRP水槽より大型水槽が作れる「現場で組立施工がで きる樹脂水槽」が開発されました ので、既設廃建屋・廃校や農業施設を再活用する事で、初期投資額の減少となります。再利用ですので小割水槽 方式に比べると、養殖効率は場所により落ちることもあります。室内は施工に制限があります。価格も割高になりますので新設をお勧めします。 中央のプラント建設業者の独占施工から中央と地方の分業を目指します。 「プラント」の提供でなく「資機材とシステム」を提供することで安価になりました。 |
3.世界で唯一 ~食物連鎖を目的とする耕水バイオファン・カルチャーシステム~
僅か25W1ヶ月約500円の電気使用料で、水車より設備も安価で、高性能の耕水機バイオファン・カルチャーシステム(http://biofan.jp/)を使用します。
1h900tの水を水耕(底質活性)し、水を浄化し、音もなく池全体に水流を起こします。
野天では水と底質に含まれるリンや窒素を蛋白に変えて、魚介類の増殖効果を発揮する世界唯一の省エネ、底質活性するシステムで「水槽内に人工生態系を創生する」こととなります。
採光を取り入れた室内なら、水槽で植物プランクトンを増殖し、食物連鎖を繰り返し、「糞尿・残餌の減少」「水浄化」に効果を発揮します。
4.アオコ対策と食物連鎖
水槽に太陽光を入れ、窒素とミネラル(エサと糞尿)を含んだ水があると、当然のことですがアオコが発生します。
従来、養殖業者はこの嫌気性下のアオコを怖がって、遮光幕を張ったり、完全密閉養殖をすることが多かったわけです。しかし、このアオコは底質に酸素が供給できず、汚物を堆積定置しておくために発生するので、バイオファンは底質汚物を絶えず浮上させ、酸素を供給することでアオコの発生を防ぎ好気性植物プランクトンを誕生させ、食物連鎖を起こすことができます。また万が一発生したら、アオコを捕食するエビのエサにもなる小動物の増殖も無理なくできます。アオコを除去する無害の飲料水向けに開発された凝集剤もあります。アオコを恐れることはないのです。むしろ「アオコ」や「糞尿・廃棄物」を有価物に作り替える事で、次につなげます。
5.細かな技術の集積で『水槽内ろ過』を。防疫・健全性養殖を。
水槽内浄化を可能にするため、バイオファン・カルチャーだけでなく温室・水槽全容積で、生物・化学・物理的処理を併用し、アンモニア・リンを細かく吸着・分解・飼料化・回収・殺菌処理を行い、薬剤を使わず病気予防対策を行います。
水槽内ろ過機能は、10種以上の複合作用となっています。
6.稚エビ輸入は室内型密閉循環養殖が条件
「水産資源保護法」に則った「設備及び管理命令飼育」「稚エビ輸入許可手続き」に沿って密閉循環養殖を行い、排水は完全消毒します。
病気予防・成長促進・健全性を保つため、安価な免疫増強としてのプロバイオティクス資材やフコイダン含有海藻飼料化・微生物防疫システムを導入します。
7.養殖に付帯(補完)する低コスト「活魚」輸送技術が必要
本州最南北端や離島で、正に寒冷地から熱帯風土、過疎地にあって安定した経営を実現するためには、
①寒冷地対策を始め、省エネ、省投資、高効率の量産等養殖技術が必要です。 ②遠距離にある消費地に安全、安心、美味な“生もの”を届けるため「活魚輸送の改善」「流通経費を削減」することが必要であり、長距離・長時間生のまま美味を届ける 技術を養殖技術と併行していかなければなりません。 |
8.低価格鮮度維持技術で
最近の『鮮度維持』技術は、養殖諸設備にも匹敵する高価なシステムとして流通業界に導入されていますが、本来生産、出荷用、養殖に低コスト技術がセットになっていることが必要です。
私達は、高額設備でなく-3℃不凍結機能水を作り、温度上昇を防ぎ、その水を利用し、生鮮品でドリップなしの解凍不要流通を提案しています。
①生きた細胞に働きかけて、細胞内エネルギーATPの分解を遅らせ、細胞を活性化する ②有害化学物質の分解・消臭・抗菌・防カビ・抗酸化効果を持つ天然素材で鮮度維持。 ③「水と共鳴して共振する」振動を与えることにより細胞内の水に働きかけ、鮮度を維持。 ④-3℃で凍らない水に機能性を付加する等、エコシステム素材を使い、新冷蔵・新貯蔵施設との併用等々により、大量輸送・貯蔵に挑戦します。 詳細は、別途UPしていきます。 |
9.「低温乾燥機」や「微粒粉体機」
青森県津軽で開発された冬場の加熱技術を転用し、養生・熟成、育成光線やマイナスイオンを発生させ、ランニングコストが少ない安価な「低温乾燥システム」を用意しました。
「飼料加工用機械」は微粒子粉体(パウダー化)技術を用意しました。
10.究極の「生態系陸上養殖」は海藻との併用
エビ養殖の先進地タイでは、海藻を栽培した池にエビを放流し、エビを取り上げた池に海藻と交互に栽培しています。エビは海藻への肥料を供給し、海藻の中にもぐって休息し、揺籃場として海藻をえさにしています。
海藻は、底質の糞や尿・CO2・窒素やリンを吸収し、水を浄化し、酸素を供給します。太陽光をあびた100㎡の角水槽内で海藻栽培し、エビ養殖をする技術を完成し、漁民が燃料高や悪天候の時でも通年就業できる体制を作りたいものです。
そして、キャッシュフローのつなぎとしても、養殖魚種と同じ温度帯で、育成期間の短い陸上海藻栽培を併用します